初対面で気になる相手に出会った時、今なら電話番号やメールアドレス、LINEをすぐに交換して、その後も連絡を取ることは簡単です。しかし昭和の時代ではそうはいきませんでした。
一目惚れで恋人にしても大丈夫?
出会った瞬間を逃しては、もうその相手には出会うことはできないかもしれないです。
他の生物を見渡しても、オスとメスの出会いは一瞬一瞬が勝負です。
たとえば川の中で出会ったサケのオスとメスには「また次会った時でいいや」などという選択肢はありません。
今この瞬間を逃してしまったら、同じ相手には、もう二度と巡り合うことはないのです。
サケの例は極端かもしれませんが、今日の自分たちは、一目惚れをつくり出しています。
それでは、一目惚れは「正解」なのでしょうか。
つまり、初対面で運命を感じるのは、無意識に生物学的な「正解」を理解しているからなのでしょうか。
この人こそが、自分、あるいは僕にとって、最も優秀な遺伝子を残してくれる相手であり、性格や相性もすべてがぴったりの「運命の相手」であると。
残念ながらそうだとは限りません。
運命の最高のパートナーとは?
あの時は「運命」を感じたけれど、結局あれは勘違いだったという結果は、沢山ありえることです。
脳は、一瞬で「ビビッ」と運命を感じさせることはできますが、実際のところ、本当にその相手が自分にとっての最高のパートナーであるかどうかまでの責任はもてないのです。
ただ、その出会いを何か特別なものと感じ、大新皮質の注意を向けることはできます。
「もしかしたらこの人は、自分にとって大切な人になるかもしれない!」
本気にさせて、検討するきっかけをつくることが扁桃体の役割でもあるのです。
恋愛に「正解」はありません
好き嫌いの感情に、正しい・正しくないという絶対の結論など用意されてはいません。
好悪の感情は、その人の性格や育った環境、今までの経験によってある程度の方向性が決まっているだけなので、「これが絶対!」などという正解などないのです。
おそらく、好みのタイプが個人個人で異なるというのも、そうすることで生物的な棲み分けをしている可能性が高いからです。
長身イケメンはモテる
イケメン俳優や美人女優の恋愛が話題になることが多いですが、それでも自分のパートナーとして選ぶタイプは人それぞれ。
メンクイではないですが、みんなそれぞれちょっとずっ好みのタイプが異なっていることで、うまく組み合わせが出来上がっていっています。
もし、みんなが同じ人を好きになってしまったら、生物として危機的状況に陥ってしまいます。
一目惚れは、その瞬間に「正解」が分かるということではありません。
ちょっと情報処理をしてみようと、脳が本気モードに入った証拠なのです。
しかし逆にいうと、一秒にも満たない瞬時に、脳を本気モードにさせるというスイッチを押しているわけですから、その時の本能的な働きというの
は、すごいものです。
なぜ、この人を好きになる?
一目見て、「なんだかこの人が気になる!」と思ったその瞬間、スイッチが入るのです。
しかし、その理由は何年もかからないと分からないかもしれません。
「どうしてこの人なのか」「なぜこれほどまでに好きなのか」。
その回答が自分なりに出るまでには、一日、一週間、一年、下手したら何十年もかかるかもしれないことなのです。
生物の世界において、それほど長く熟考しているゆとりはありません。
その人と、次回再び相まみえるかどうかも定かではない出会いの刹那にあっては、
正解かそうでないかの判断は後々考えるとして、とにかく今この瞬間は、この相手を選び取る。 これが一目惚れの正体なのです。